茜ちゃんは少し俺の方を見てから視線を夏希さんに戻し


「…ままたちいそがしい?」


結構さとい子のようだ。


「そうね、ごめんなさいね。茜」


「あかね、おにいちゃんといる。はやくかえってきてね」


「あぁ、すぐに帰ってくるよ」


「お利口にしてるのよ」


夫妻はそれぞれ茜ちゃんに声をかけ、俺にも丁寧に声をかけてからあしばやに立ち去って行った。


俺はこれでいつもの鬱陶しいやつらの相手をしなくてすみそうだから茜ちゃんに感謝だ。


「父さん、母さん俺が茜ちゃんの側に居るから挨拶まわりとか行ってきていいよ」


「そうだな。しっかり茜ちゃんの相手をするんだぞ」


「頼んだわね」


父さんと母さんも茜ちゃんに一声かけてから離れて行った。


俺は茜ちゃんに合わせて、しゃがんで目線を合わせた。


「茜ちゃん、お母さんたちが帰って来るまで俺と一緒に遊んでようね」


こくり


茜ちゃんが頷いた。


それからじーと見てきた。


なんだろう?


「なにかな?」


「さっきわかんなかった」


わからなかった?


「おにいちゃん、おなまえなんていうの~」


ああ、名前か