突然の出会い

「食べ物を取りに行っていたもので、茜ちゃんを見ていて頂けたのですか?」


さも今来たというように言った。


「……あ…ぁ、迷子なのかと思ってね」


「……君は月城さんの御子息だよね。久しぶりだね」


男たちは焦っている。


……しらじらしい


「お久しぶりです。父がお世話になっています」


俺は思ってもいない言葉を並べ、社交事例的にあいさつをした。


「此方こそ君のお父上には日頃からお世話になり」


「君が居るってことは今日は此方に?」


「はい、会場の何処かにはいるはずです」


外面を取り繕うのだけははやいな……


そんなことより俺ははやくこいつらを茜ちゃんから遠ざけたい。


「茜ちゃんのご両親は何処に居るか知っている?」


「何故君が一緒に?」


ようやく本題に入りやがった。


心の声を表に出すことはせず


「ご両親は用事があって少しの間席を外しています。だからその間僕が預かっているんですよ」


笑顔で言ってやった。


「あぁ、そうなのか」


「それは残念だな」


「ご挨拶がしたかったのだが……」


「それでは、失礼するよ」