突然の出会い

「茜ちゃん、パパとママは何処に居るのかな？」


「一緒に来たんだよね」


「おじさんたちと一緒に行こうよ」


「それとも、迷子になっちゃったのかな」


4人の男たちは口々に茜ちゃんに話しかけている。


その男たちの目はどう見ても茜ちゃんを心配しているようには見えない。


おおかた茜ちゃんを餌に話しかける口実をつくろうといったところか。


虫酸がはしる……


これだから意地汚いやつらは嫌いだ。


茜ちゃんはどうしているだろうと思い、隙間から覗いてみた。


茜ちゃんは下を向いていた。


……大丈夫なのか？


どうしようか悩んでいると一瞬顔を上げた茜ちゃんが見えた。


「…！！」


茜ちゃんは目は潤んでおり、今にも泣きそうな表情だった。


なのに……周りの大人たちは勝手な解釈をして迷子だと決めつけている。


もう一度茜ちゃんを見ると泣くのを我慢しているのか震えていた。


「すいません、僕の連れに何か御用でしょうか」


俺は笑顔で話しかけた。


「……セツナおにいちゃん…」


茜ちゃんは明らかにほっとしたような顔になって、小さな声で俺の名前を呟いた。