「でも私は気持ちがわかんないから、」 「うん」 「怖くて怖くて」 「うん」 「前に進む勇気がなくて」 「うん」 「でも何かしなきゃ始まらないし」 「うん」 「そんなのわかってるけど、」 「うん」 「どうしたらいいのかわからないの」 「うん」 「こんな自分が今は‥‥‥すごく嫌い」 そう、どうして流れるかわからない涙に気づかれぬように 私は再び顔を伏せた。 頭に手が触れる。 聞こえたのは友人の声だった。 「恋してるねえ」 恋するライオン。 恋すればライオンだって臆病になるのです。