ケビンは最初から変わらず、そのピクリとも動かない整った無表情な顔でそれを見ていたが、実はいつのまにか誰にも気づかれない間に、今にも落ちそうなほどの涙の粒をその涼しげな眼に溜めていた。

そしてその大粒の涙が落ちるのが早いか、それともケビンがうつむいていた丸坊主の男の後頭部を両手の拳で殴るのが早いか、その瞬間は思いもかけずに訪れた。

ケビンは倒れた男が手に持っていたピストルを取り上げ、サザナーズ‐アクセントの男のこめかみを至近距離からおもむろに撃った。

『パンッ』

それはまるで計算尽くされた映画さながらのアクションである。

「許さない。」

と低い声でケビンがつぶやいた。

その瞬間、ピンク色に染まったルイの瀬戸物のような胸の肌に、真っ赤な血しぶきが覆った。

撃たれた反動で男の体は一挙に重たくルイにのしかかった。

「だよなぁ…。」

無機質なイーサンの声がして、その瞬間冷たく硬い感触が、ケビンのこめかみを突いた。

「やっぱりサム-シンの言ったとおりだよなぁ。アクターがこの女を売るわけがないか。」

イーサンはピストルを後ろからケビンのこめかみに押し当てたまま、ルイを見ていった。

「さぁ、ゲームはもうおしまいだ。もうそろそろ言ってもらおうか。いや、紙に書いてもらわなきゃならんのか。」

そういうと丸坊主の男に指示して下半身裸のサザナーズアクセントの男を体を押しのけさせ、紙と鉛筆をルイに渡した。