あれほど、私に記憶を取り戻してもらいたくなかったケビン。

何故なら記憶を取り戻した私は用が済み次第、バリーに殺されるに違いないからだ。

でもちょっと待って。

サシーって何者?
バリーはどうなった?

この時点ですでにバリーは、サシーに殺されているに違いない。

何故なら最後にあのテトラポットの場所で受けた電話の声は、亮介を撃った男に違いないから。

あの三人には他に黒幕がいて、バリーの始末を命じたんだ。

きっとその黒幕がサシーだ。

あのとき足の悪い男が電話でしゃべっていたのはきっとサシーに違いない。

そしてケビンはやつらとは関係なく、バリー‐コステロと何かしら関係を持っていた。

そして何かの理由で自分の危機を察知したバリーは、外部のケビンに助けを求めたんだ。

そうだ、バリーからの最初の電話は私が取ったんだ。

そういうことなら全てつじつまが合う。

じゃぁ、いつケビンは私がバリーと関係があることを知ったんだろう?

最初に会ったとき?

バリーはずっとケビンに私を見張らせていたのだろうか?

最初にケビンに拾われたのも、計画だったんだろうか?

ふつふつと新たな疑問が湧き出てくる。

目的はメイソン刑事が話してた麻薬に違いない。

そしてバリーが殺された今、ことの詳細を知っているたケビンの身が危ない! 

そうだ、そう思ったから私はとっさにあのピストルが本物だと悟った。

でも一度撃たれたケビンは、わかっていながらどうして逃げようとしなかったんだろう。

まるで自分からピストルに向って行ったようだった。

そうだ、あの瞬間ケビンは死にたかったのだ。