ルイの手術は八時間にも及んだ。

ルイにはよほどの悪運があるのだろう。

まず、ヒロインの女優が至近距離でルイを撃ったため、弾丸が鎖骨を砕いて上に方向を変え、そのまま体から突き抜けて行った。

そして砕けた鎖骨の直ぐしたの動脈は、少し裂けてはいたが、ナースがすぐさま指でつまんで止血したおかげで、事なきを得た。

結果ルイの肩には、合計九本もの大小のボルトが埋まることとなった。

目が覚めたルイには何があったのかほぼ見当がついていた。

あの日、ケビンの忘れ物の携帯を取りに帰ったルイは、うかつにある人間からの電話に出てしまった。

それはニューニャージー‐マフィアのバリー‐コステロからであった。

なぜなら、ケビンの通信履歴にはしっかりと『バリーの親父』とでていたし、ニュージャージのエリアコード『201』がしっかりと残っていたからだ。

その時のバリーは相当あわてていたようで、まだ一言も話していない電話に向かって、「サシーに狙われている」、だとか「誰も信用できない」などと口早に喋った。

それなら、あの後足の悪い男が電話口で話していたことと、しっかりつじつまがあう。

なるほど、奴等がサシーなのか。

それにケビンとケビンの弟が、ジャンキーだった父親の元を離れた後育った孤児院と言うのも、ニュージャージのエリザベスにあると聞いている。

バリーとケビンに接点があっても不思議はない。