静かな朝。 

ジャージー市のアッパーに位置する高級住宅街にあるバリーの自宅で、ひとつの銃声がなった。

そこには裸にタオルひとつで血だらけになりながら這いずり回り、命乞いするバリーの姿があった。

「な、たのむ。 おれは何でもやつの欲しいものをやる。これから西と東で協力していこうじゃないか。おれは絶対にサシーをがっかりさせない。」

サザナーズ‐アクセントの男が、いった。

「サシーさんは協力したいんじゃないんですよ、おやじさん。おやじさんの島がほしいだけなんすよ。」

「てっ、てっ、てめーっ! てめーは俺が育ててやったんだろうっ!」

「頭の悪りぃボスはいらねんですよ、とどのつまり。」

そういって顔色ひとつ変えずにサザナーズ‐アクセントの男はバリーの頭を打った。

ライフルとは違い、ピストルは正しい距離から撃つと、たいてい撃たれたからだの中で銃弾が破裂する仕組みになっている。

バリーのそれもそうだった。

正面の額の穴は小指一本入るぐらい、きれいにあいていたが、後頭部はというとフットボールが四分の一『ズボッ』と、たてに入るぐらいえぐれていた。

サザナーズ‐アクセントの男が、丸坊主の男にバリーの机から携帯を持ってこさせると、その通話履歴を確認しだした。

バリーは昨日から今日にかけて同じ男に三回も電話をかけている。

履歴のリストには『アクター』とかかれていた。

サザナーズ‐アクセントの男がすぐさま自分の携帯を使って誰かに電話した。

「へぇ、バリーのやつ、俺たちが来る前に感づいて誰かに電話してたみたいです。どうしましょう。」

「へい。今からします。」

そういうとバリーの会話履歴から『アクター』に電話をした。

すると『アクター』はすぐに電話にでて、サザナーズアクセントの男が間髪要れずに、「電話を拾った。今電話に出ているのは誰か。」と聞いた。

しかし『アクター』からは何も返事は返ってこなかった。

不審に思ったサザナーズ‐アクセントの男はそのまま電話を切った。