ラガーディアの空港はこれほど飛行機の乗り入れ数が多いにもかかわらず、オヘア空港やミネアポリス空港に比べたら、たいへんこじんまりとした古めかしい空港だった。

しかし行き交う人々の足取りは非常に速い。
それはビッグアップルのサブウェイ.ステーションと変わらないぐらいだ。

タクシーを降りた二人はチェックイン.カウンターへと向かった。

そこには一人、扉の影からジトッとした嫌な目つきで二人を見つめる男がいた。

それは亮介が撃たれたときにいた、あの足の悪い男だった。

男は携帯を手にとり、盛んに誰かに話していた。

「やはり生きてました。なんだか、面白いことになってます。」

二人はすんなりとゲートを抜け、定刻どおりに出発した飛行機の中にいた。

そして、後部座席の窓側の席にはあの男が座っていた。

男は二人の一部始終を見ていた。そしてあわよくばさくらをさらい、ヤンの商品のありかを聞き出そうと手をこまねいていた。

飛行機は三時間足らずでグランドバハマ国際空港に到着した。

バハマという国はよくリゾート化された島でありながら、首都のナッソーを離れると多くの自然がありのままの姿で人々を魅了する。それもそのはず、バハマ諸島723島のうちの95%は無人島で、たった30島しか人の住む島が無い。

今回そのうちのひとつであるサン.サルバドル島で撮影がある。

サン.サルバドル島まで、首都のナッソーから飛行機で一時間弱飛ばなければならない。

その飛行機も明日の朝まで飛び立つことはない。今日は残り半日、フリーとなる。