ケビンはER(緊急治療室)に駆け込み、そのあとすぐに、ナースやパラメディックがストレッチャーでルイを運んだ。

ルイの体は右手の小指を除いて、打撲と擦り傷のみと軽症であった。

しかし、どうやら外部からのストレスによる精神障害がみられ、とても口が聞ける状態ではなった。

ドクターいわく、記憶もなくしている可能性が高いとか。

ルイの処置が続いている間、ケビンはNYPD(NY警察)のメイソン刑事から簡単な状況説明を申し受けていた。

一通り、彼女を道で見つけたときの説明が終わると、電話を受けたメイソン刑事がポツリポツリと簡単にルイのことを話しだした。

「本当にかわいそうな女性です。今連絡が入りましたが、彼女がいたと思われる埠頭のセキュリティカメラから、全てが映し出されていたそうです。」

「そうですか...。」

「一緒にいた男性も頭を拳銃で打たれて、彼女と一緒に裸で重石をつけられて海に投げ込まれています。」

「犯人の目星はつくのでしょうか。」

「目星はすでについてますが、殺された男性とこの女性に関する情報と、どうしてこんな事件に巻き込まれてしまったのかがまだわかっていません。」

「そうですか...。」