その日に限って、フリー客が多くて大広間は、12席(1席6人対応)
の全て満席で仕舞いに、ウェーティング(客待ち)がかかる状態。



しかも21時には料理ラストオーダーが来てしまいどんなに、お客様がお待ちでもその時点で、お帰りしていただくその対応で、てんてこ舞いだった。


最低でも一組座れば2時間。
17時から夕方営業が始まるので、どう頑張っても2回転が限界。


不思議な事に、忙しくなればなる程、厨房の調理人は不機嫌になる。




オーダー(注文)をデシャップ(仲介)に伝えるのも、調理人の顔色を見ながら伝えるのが日常。




くそ忙しい時に、デシャップが料理の場所を間違えたり、アルバイトさんがお客に粗相をして、謝ったりと大変な一日だったのに…、デシャップと打ち合わせしていたその時!



ベテラン社員が私に、何故がぶつかり料理をひっくり返してしまったのだった。

「大丈夫ですか?山口さん」



慌てて、あたしはその時、散らばる料理や、食器を拾い集めた。


「竹内さんがそんな処に突っ立てるから、ひっくり返したじゃない!」




「スイマセン」


「ったく!新人はこれだから嫌だよ。それ、片しといてね。私忙しいんだから。」

「ハイ、スイマセン」



新人だからって・・関係なくない?




その様子を見ていた大河が無言で、新しい料理をすでに用意してくれている。



「ありがとう。大河さん」



背中越しにお礼を言うと、ちらっとこっちを見て笑い返していた。