『降下を志願する』

たった二人の救援。

愕然とするデュラントを建物内に残し、シュガートは墜落ヘリまで戻った。

既にゴードンが陣取り、応戦を始めている。

…間近で見ると、暴徒の数は想像を絶するものだった。

この街の連中が、全員ここに集結しているのではないか。

それ程の群衆。

少なく見積もっても数百はいる。

そんな暴徒の群れを、たった二人で相手する。

如何に鍛え上げられた精強なデルタ隊員とはいえ、自殺行為に等しかった。

ゴードンとシュガートはスナイパーだ。

確かに射撃に関してはデルタでもトップクラス。

しかし本来スナイパーとは、遠距離からの狙撃が任務だ。

それがこんな至近距離で、10倍以上もの敵の大群を相手に戦うなんて。

不利過ぎて絶望すら感じない。

ゴードンはただひたすら、無言で銃のトリガーを引き絞った。