付き合い始めてから今まで、何故自分なんかをと疑問に思わない日はない。

本人に直接聞きたいところだが、そんな事聞けるはずもなく・・・。


だが、相手がどんなにかっこよくて、とんなにモテようとも、自分の方が誰よりも壱哉を好きだという自信だけはある。


壱哉が初香を想うよりずっと。



あ、そっか。
そうだよね・・・。



「これだよっ!!」

いきなり目を輝かせながら顔を上げた初香が、握りこぶしを作って叫んだ。

「びっ、びっくりしたぁ。ど、どれだよ」

今度は本気でビックリした百合が、怪訝な顔で覗き込むと、初香香は嬉しそうに笑った。

「壱哉君を想う気持ちっ!これは誰にも負けない私だけの取りえ!!」

高らかに宣言した初香は、はたで目をしぱたたかせる二人に構う事なく持ち場に戻っていく。

「うっわぁ、すっごい甘ったるい取りえ・・・てゆーか、取りえなのかなぁ?」

「いいじゃない、初ちゃんらしくて。なかなか言えないよ?あんな事」

クスクス笑いながらボウルを持ち上げ、濡れた部分を綺麗に拭き取って百合に手渡す。