私・・・何でこんな事に?



物音が激しく聞こえる中、初香(ウイカ)は口元を両手で押さえながら息をひそめていた。


[初香、おっきな声あげちゃダメだよ?]

後ろにいた壱哉(イチヤ)が耳元に囁と、初香はピクンと体を震わせる。

うん。と一言返し、喉を鳴らして唾を飲み込んだ。


ガタガタと軋む机に手をつき、ロングヘアの女性が声を荒げているのが見える。


うそっ!
これ現実!?



三畳程の用具入れの中で、閉まり切らないドアの隙間から、凄いことになっている女子生徒の姿に目がくぎづけになっていた。

見てはいけないと思いながらも、目を離すことが出来ない。

[初香?集中しすぎ]

「んご、ごめんっ、けどっ」

[しっ、声落として?気付かれちゃう]

どもりながら謝る初香の顔は、真っ赤に染まって正しく熟れた果実のようだ。


女子生徒と男子生徒の息遣いが激しさを増し、それと共に初香の頬がまた赤くなる。

あまりの光景に、初香はついに目を逸らした。