・・ラジオのゲスト生出演、
入ってくる時は待ち構えてた
彼のファンにもみくちゃに
されたが時間には間に合った。
今はオンエア中。
彼がゲストとしてのトークを
私は聞き流していた・・。
と、云うのもジュードの
発言の数々を思い出さずには
居られなかった。
彼も最初は
同情でしかなかった筈。
なのに・・
契約しないなら、今まで通り
自分個人が雇うと云う。
つい深く考えてしまって
直ぐに返事は出来なかった。
芸能界には
なんの関心も無かった。
だけどジュードが引き止めて
くれたのは嬉しい。
心から、誰かに
必要とされているなんて。
で・・、ふと不安になった。
また私、何か
勘違いしていないだろうか?
つい最近、
私を置いていった男。
坂巻孝介。
思えばあれも
そうだったかもしれない。
『お前 もう
歩けねえって顔してるな』
夜の街の雑音が
耳から消えた一瞬。
再び出合ったあの人は、
蹲ってた私にそう云って
手を差し伸べた・・
初めての男。
今もそこに何らかの愛が
あったと思いたいけれど
また、そう信じなければ
____ 立てなくなりそうで
傷つくにももう慣れた。
そしてもう
泣くだけ泣いた筈だ。
前向きに生きる
チャンスなのかもしれない。
ある程度働いて、
ちゃんとした棲む所も
探さなければ。
・・・もしもの時の為に。


