「なんと、
このモデルさんなんですが、」


今頃引っ張るなー!

大体、皆、好き勝手に
喋り過ぎなんだよ!
この後の予定が
迫ってるっちゅうに!!



「実は、
付き人さんなんですよね?」



エーッ!? って、
驚き過ぎだろ。
何だよ、カメラさん達まで。

その上、
一緒に住んでるよっ!

って・・云ったら?

ダメだ笑える。
ついニヤけて頷いちまった。



「あー、名前は・・可愛い
名前やな、シアちゃんやて。
シアちゃん? どうですか、
緊張してますかー?」


って、ジジイ!! 

カンペ見ながら本人に聞くな!


「・・・。」



無言、無表情でシアが
やっとのコトでコックリ頷くと
笑いが沸き起こった。



「なんか、かわいー!」

「そらなー、
緊張するよなァー!」



・・限界らしい。

笑われたせいか視線が斜め下、
口はとっくに一文字だ。

化粧の上からでも顔は
薄ピンクになって、
まるでのぼせてるみたい。

その顔をアップで
撮らないでやってくれ。



「何とも可憐ゆうかね・・
君らにはこんな可愛い時期、
なかったやろなァ・・
いや、ある筈がないな。
あったら怖い。」


「「「 何でやねんッ! 」」」



モニターに映るシアの顔を
見ながら独りごとの様に
勝手に纏める司会者。

・・さすが、
大阪の番組である。


「はい、ジュードさん。本日は
どうも有難うございました。
シアちゃんもどうも有難うね。」

「いや、こちらこそ。」


終始無言ではあったが
シアはちゃんと、四方に
お辞儀をして先に戻って行った。


・・がっ。


奥で派手な音がした。
勿論映ってはいない。


「だいじょーぶー?」


司会者が奥を
ちょっと覗き込んだりして。



「オイッ。」



俺が引っ込んだのと時間差で、
足元の太いコードに
引っ掛かって・・


(クックロビン?)


ベタ寝してやがる。やれやれ。



「あーあ。滑り込んじゃった?」