くそ・・、
罪のねえフリしやがって。
全く、抜け目がない・・。
「え・・?」
シアはまた社長室に戻され
俺同席の元、
社長に勧誘されていた。
「ジュードの付き人だった
って、話題性もある。
いいチャンスだと
思うんだけどなー。
どう、他にもやってみない?」
「私・・そんなつもりで
坂巻さんにお世話になってる
訳じゃありません。」
「皆、最初はそうだよ?
売れたら人に面倒見て貰う側に
なるんだ。彼だって君の
独り立ちを喜んでくれるよ?」
______ 嘘つけよ。
やる気ねえってつってんだろ。
もう止してくれ。
俺は必死こいてシアに
良いコトばかり云い続けてる
社長を呆れて見ては
ソファに踏ん反り返って
天井を仰いでる。
なんでこんなに・・
聞いてて腹が立つ?
ああ、そうか。
きっと彼女は俺と契約中、
何回寝ようが
ヤツを・・ヤツだけを
想ってるって事を再確認
させられてるみたいで・・。
やりきれないのか?
シア・・一体どうやって
ヤツはお前を虜にしたんだ?
坂巻との間に何があって・・
お前は?
「シツコかったな」
「ええ、でも・・なぜ急に?」
「本木マネージャーは、
会社の利益を考えたんだ。
当然かもね。」
近くの豆腐専門店で
社長と一緒に食事をした後、
やっと解放された俺達。
「移されたら
当分は脱ぎっ放しの仕事だ。
商品にして悪い虫から
引き離したいのさ。ん・・?」
呼ばれたタクシーに乗った
帰宅途中、ポケットの中の
携帯がブルッて取り出して
ディスプレイを見た。
「・・・社長??」
三十分前に別れた
オッサンがなぜまた?
自宅に着いて、
タクシー運転手に
領収書を書いて貰っていた
シアを見遣りながら。
「・・・・もしもし?」
『ああ、今日はお疲れサマ。
あのね、さっき電話で
相談があってね・・?』


