「ケーキ・・やっと
まともに食べれた・・。」


シアはフォークとケーキを
噛み締めながら笑った。

恩田さんが、

「今日は長丁場ですからネ」

そう云って、どれも一口二口
しか食べさせなかったらしい。

クランクインも近いから、
太らせては一大事だ。


「それでなくてもシアさんは
体重の移動が激しいのに。
少しは彼を見習うべきです。」

「・・そうそう。今回俺も
1キロも太れないんだった。」

「へー、ハリウッドって
やっぱキビシイ世界、ハウっ!」


ボコッ・・!

つい皿を持ったまま那須に
回し蹴りを食らわせちまった。


「え? 何・・?
どういう事・・?」


周りがクスクス笑うから
さすがに鈍感な彼女にも
感づかれてしまった様だ・・。



「シュン役、決ったんだよ。」

「ああ・・! やはり、
日本人の方だったんですか?」



((((( スゲエ鈍感・・。)))))



皆がそう思って、時間が
止まったみたいになってるのも
全く解っていないらしい。

幸せそーに、最後の大粒の苺を
口にほお張ってる。


「いや・・、ドイツと日本の
血が混じるクォーターだって。」

「へえ・・・。」


やっと俺の顔を
マジマジと見てやがる。

やっと考えを纏めたらしい。


「それって・・
ジュードさんみたいですね!」


・・ダメだこりゃ。仕方ない。

彼女とソファに座った所で
バッグから取り出したる物を
彼女に三つ、手渡した。


「それは、俺から。もう2つは
コルドマン監督から預かった。」


「監督に会ったんですか?
エ・・台本? これって・・!」


やっと解ってくれ・・

「契約違反・・!?」

・・・てない。


この映画もそうだけど、
海外ものは特に厳しく、
色んな契約書があってそれに
同意のサインをするんだ。

シアが云うのはその中の
"台本やその内容は
一切他言しない事"ってヤツ。


「いいから、プレゼントを
早く開けてみな・・?」


監督からはパールのチョーカー。
そして・・俺からは?