「さ、お手をどうぞ?」

「・・ええ。」


専務は凝り性だから。
そう思って付き合う事にした。


「なんか、凄くイイ匂い、
・・アレ?」


その料理っぽい匂いに、
嗅ぎ慣れた香りが混じってる?


「ワン、ツゥ・・」

「・・・!?」


♪~・・・


アコギ? ・・今の声は。



"・・お願いだよ
My Thumbelina


It`s tearin`
apart my blue heart・・
Loving u
is like a battle"


違う、バージョン?
これはCD?

その時、
やっと目隠しが外された。


「あ!!」


目の前の見慣れたリビングでは
さっきの曲が今、ナマで・・
演奏されていたのだ・・!

2人はイスを並べて座り、
私を見てニヤっとだけ笑う。

演奏は止むことなく、
周りに座っていた会長、専務や
柘植くん、サクヤさん、
汐ちゃんらを揺らしてしてた。



"・・けれど
けして折れたりしないから

手を伸ばせばいつも
そこに居るって・・思い出して"


「・・・。」


呆然としてる私を皆の拍手が
我に返らせた。


「・・シア、19歳の誕生日、
おめでとう・・!
そして、ただいま。」


「「「「 おめでとう!!
アーンド、お帰り!! 」」」」


パンパン! パン!!

一斉に掛け声と、クラッカー。

ギターを置いた彼が近づき、
手を差し伸べた。


「・・ふふ、驚いた?」

「も・・!
ズルいですよ・・! 皆も!!」


専務もグル・・。
嬉しいやら、驚いたやら、
もう解らなくて・・。


「何で泣いちゃうの・・?」

「お帰り・・なさい。
あ、お化粧が・・」

「煩いよ、いいんだ・・。」


背中を抱かれると
お腹に押し付けられていた。

あの歌詞の訳・・。

私だけじゃない・・やはり
貴方だって同じだったんだ。


「さぁ、早よ食べるで!」



「「 ・・うるさいっ。 」」



そう、今、凄く、
良いトコロなんだから・・。