私はその日、
19歳の誕生日を日本で迎えた。
散々、どの現場でも
花束やプレゼント、
ケーキを用意されていて
戸惑ってしまうぐらいだった。
ジュードが渡米して早一週間。
帰国の予定は
まだたたないそうだ。
仕事だと聞いてるだけで、
内容までは知らない。
あまり長くなって、
入れ替わりみたいに
急遽、撮影開始の召集が
掛からない事を祈るばかり。
「今日これで最終ですよ。
あともう少し
がんばって下さいね?」
「はい。」
移動中の車の中での
よくある会話。
恩田さんはひょっとして、
セッションで私に
"甘えん坊"の要素でも
埋め込んだのではないかと
疑ってしまうほど・・
ジュードさんの冷たくて、
薄く、しなやかで
綺麗な手がとても恋しいのだ。
「どうしたんです?
頬なんか摩って・・寒い?」
ルームミラー越しに
恩田さんの目が笑ってる。
恥カシ・・!
桜も満開時期を過ぎようと
している季節にバレバレだ。
気を反らすかに窓の外を見る。
通り掛った夕方の公園では
大いに盛り上がってる人たちが。
これからの夜には
もっと賑やかになるんだろう。
「お花見なんて素敵・・。」
「雨でも降ったら
桜も今年は最後でしょうね。」
来年は少しゆっくり・・
季節を楽しめる時間が欲しい。
去年から何もかもすっ飛ばしで
今日まで過ごしてきているから。
「恩田さん・・こんなんじゃ、
きっと二十歳なんてアッと言う
間に来ちゃいそうですよ?」
「はは、今日19になった
ばかりじゃないですか・・。」
賞を獲った時も、
クリスマスも、
お正月も、
お祝いの時には
決っていつも彼とは過ごせない。
「贅沢ですよね、
淋しいなんて思ったら・・。」
「・・おっと、こんな時間だ。」
彼は思い出した様に
前を気にしながら
ラジオのスイッチを入れていた。
「?」
専務がラジオなんて・・珍しい。
ずっと膝の上で寝ていたラフィが
DJの声に急に目を覚ました。
19歳の誕生日を日本で迎えた。
散々、どの現場でも
花束やプレゼント、
ケーキを用意されていて
戸惑ってしまうぐらいだった。
ジュードが渡米して早一週間。
帰国の予定は
まだたたないそうだ。
仕事だと聞いてるだけで、
内容までは知らない。
あまり長くなって、
入れ替わりみたいに
急遽、撮影開始の召集が
掛からない事を祈るばかり。
「今日これで最終ですよ。
あともう少し
がんばって下さいね?」
「はい。」
移動中の車の中での
よくある会話。
恩田さんはひょっとして、
セッションで私に
"甘えん坊"の要素でも
埋め込んだのではないかと
疑ってしまうほど・・
ジュードさんの冷たくて、
薄く、しなやかで
綺麗な手がとても恋しいのだ。
「どうしたんです?
頬なんか摩って・・寒い?」
ルームミラー越しに
恩田さんの目が笑ってる。
恥カシ・・!
桜も満開時期を過ぎようと
している季節にバレバレだ。
気を反らすかに窓の外を見る。
通り掛った夕方の公園では
大いに盛り上がってる人たちが。
これからの夜には
もっと賑やかになるんだろう。
「お花見なんて素敵・・。」
「雨でも降ったら
桜も今年は最後でしょうね。」
来年は少しゆっくり・・
季節を楽しめる時間が欲しい。
去年から何もかもすっ飛ばしで
今日まで過ごしてきているから。
「恩田さん・・こんなんじゃ、
きっと二十歳なんてアッと言う
間に来ちゃいそうですよ?」
「はは、今日19になった
ばかりじゃないですか・・。」
賞を獲った時も、
クリスマスも、
お正月も、
お祝いの時には
決っていつも彼とは過ごせない。
「贅沢ですよね、
淋しいなんて思ったら・・。」
「・・おっと、こんな時間だ。」
彼は思い出した様に
前を気にしながら
ラジオのスイッチを入れていた。
「?」
専務がラジオなんて・・珍しい。
ずっと膝の上で寝ていたラフィが
DJの声に急に目を覚ました。


