+ missing-link +

ピーンポーン・・


「ちっ! 早いな・・!」


舌打ちした禅は私から体を離し、
起き上がらせ、立たせた。

誰がベルを押しているのか
彼には解っている様子で
玄関に向かっていった。

私はその間に急いで
ブラを直そうとして胸を見たが
酷い・・青あざになってる。

何でだろ・・
吐き気がする・・。

彼が命令形で"動かないで"
"黙って"、"放すんだ"

そう言われたら
従ってしまう自分がいる。

やはり何かおかしい・・
私は
一体どうなってしまったのか。


「こんばんわ、お邪魔します」

「・・こんばんわ、貴方は?」

「調子が悪いって言ってたろ? 
診て貰おうと思って助っ人を
呼んでおいたんだ。」


突如、目の前に現れた
どこかで見た様な気がする、
彼が呼んだと言うスキンヘッドに
銀ブチ眼鏡の男性。


「お医者さんですか?」

「いいえ、セラピストです。」


座って・・と促され、
またイスに腰を落とした。


「あの、私・・担当の
セラピストが居ますので・・。」

「ええ、知っています。さ、
気を楽に力を抜いて・・。」


男はにこやかに頷きながら
首の後ろに片手を添え、
コメカミに手を広げて当て、
グルリグルリ、
ゆっくりと首を回し始めた。


「さあ、彼のことだけ
思い出してみましょう。
だんだん思い出してきます、
ここにいる彼が解りますか?」


「はい・・・」


「貴方は熊谷禅が大好きで
彼の為なら何でもしたい、
服従したいと思っています。」

「・・・ウ」


「どうしました?
気分が悪いのですか?
では、少し休憩を・・!」


「シア・・・!?」



もう限界だったのだ・・。

半・催眠状態で
何とか彼らに背を向け、
ふらふらになりながら

コート掛けに引っ掛けてあった
防犯ブザーの紐を思い切り引いて
その場にクタクタと倒れてしまう。


ビーーーーーーーーーーッ!


途端に耳障りな警告音が鳴り渡り
微かに、
バタンバタン・・!

そんな物々しい音を聞いていた。