＋ ｍｉｓｓｉｎｇ-ｌｉｎｋ ＋

「北京ダックの追加、
お持ちしました・・。」

「・・シアさん!
太ってしまいますよ!」

「・・・。」


キャスト席で恩田さんの警告に
手をさっと引っ込めてシュン。

フィンガー・フードにしてある
からつい手が行ってしまう。

此処に付いてから
これしか食べていない。

だってこの北京ダック・・
パリッ、ジュワって感じがもう。


『シアは意外と
"タケッツ"なんだよなー。』

『監督に"デブったな!"って
尻叩かれても知らないよ?』


タケッツ?（大喰らい）失礼な。
2人のイギリス人俳優がいつも
そんな事を云って私をからかった。

いつもこの2人を咎める監督は
向こうでトラブルがあった為に
昨日急遽帰ってしまった。

米語じゃない英語の勉強と
思えばいいんだけど。


「・・・・あっ。」


那須さんが
アドレナリンJ'Sのメンバーと
座っているのが見えたのだ。

でも専務から止められてて
話し掛ける事もできない・・。
ストレスだらけ。


そう云えばジュードさんは?


「・・・・・?」


見た顔がいる・・ボーイさん。
どこで見たんだろう・・?
絶対、見覚えが・・。あれ?

ドリンクをトレイに乗せ、
その人はジュードさんに向かう。

色は黒いけど彼はカクテル系を
殆ど飲まない・・甘すぎるから。

誰かを紹介しているらしい、
ボーイの手の先に
グラスを上げて挨拶していた。

ふふ、やっぱり。正直だなあ、
なかなか口をつけようとしない。

くち・・・?


"オイ、ドブス!! ヒガミか?
てめぇ、ジュード信者だろ!"


あのボーイさんに・・似てる?

どうして今、
指をズボンで拭いたの?

どうして
そんなにニヤニヤと笑って・・
ジュードさんを振り返ったの?