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「ジュードさん・・・。」

「迎えに行かせといて
エスコートもするななんて
云わせないから。・・ほら。」


会場に入って行こうとする
戸惑うシアの手を取ったんだ。

那須が違うテーブルから
親指を立ててるのが見える。

急遽やって来たシアに客だけ
じゃなく、皆が拍手を送った。

事務所のタレントは事情を
とうに知っていたから。


「有難うございます。」


たった今、頭を深く下げたと
思ったらもう借り出されてた。

挨拶まわりと写真撮影には
恩田専務が変わって付き添う。

さっきまで・・

"一番の出世株だろ、
欠席ってどういうことだ!"

とか、

"この会社にとっては
ドル箱スターの一員でしょ!?"

とかって・・カンカンだった
奴等が
今はもうニッコニコだから笑う。

見てみろ、会長なんかもう
近づいたシアにホクホクじゃない。

経営陣にああ言われちゃァ、
あの人でも最後にしか
口出しできなかったんだろう。


「シーちゃん、超・カワイイぞ。」


会長と同い年位の客に囲まれて今、
談笑している。・・超って言うな!


「似合いますか? 七五三も行って
ないから、ホントに初めてで・・。」

「・・・そうじゃったの?」

「・・? ええ・・?」

「「「 なんと・・。」」」


こらァっ、そこのジジィども!
揃って
すすり泣いてンじゃないよッ!

周りの客がヒイテルから。

今時珍しい話か?
どうもあの事件以来、彼女には
"薄幸"のイメージがあるらしい。


「ワシ、もう千株ほど買う・・!」

「「 ワシもっ! 」」

「まいどっ・・! おい専務・・!」



・・・よくも、ケロっと。
会長、アンタ商売人だな。

お買い得な値じゃない筈だ。

株って、
そんな簡単じゃないだろ?

つーか・・、アンタらも
どれだけカネ余ってるんだ?