ガタン・・!
これは・・
エレベーターの前にある
非常階段の重いドアが
閉まった音だったらしい。
「・・・!」
ああぁ、恐怖映画みたい・・!
もう目の前に居た
ジュードさんが
サングラスの奥で・・怒ってる。
ドアをググッと
押し開けて割り込んできた。
熊谷がニヤッと笑って
やっと片腕を腰から離してる。
「なかなかエレベーターが
下りて来ないと思ったら・・!」
「悪い悪い、
口説いてた最中だったの。」
セクハラされても
口説かれてた覚えはない。
ジュードさんは自分より
背の低い彼に向き直り、
フッと大きく鼻から息を出す。
「成功したら連絡頂戴・・?」
その不敵な笑み同士で
笑い合ってる怖い光景だった。
熊谷も開いたドアに
"先にどうぞ"って手で示してる。
「急いで下さい!」
部屋の前では大荷物の
衣装さんとメイクさんが
跳んで手招きしてた。
「一体何ゴトですか?」
「記念撮影だけでも出て来い
ってさ。・・勝手なもんだ。」
コンシェルジュに聞いたら
外出してないって言われて
それで上まで見に来たのだ。
部屋に入ってから猛スピードで
着付けられ、髪に飾りをつけ、
メイクも薄くして貰って・・。
「いい・・じゃない・・?」
「・・本当に?」
さっきまでジョゲショゲだった
のが嘘みたい・・嬉しい・・。
帯を直して貰ってる間、ずっと
等身大の鏡の自分を眺めてた。
紅い振袖・・手毬の模様、
生まれて初めての着物だ。
「会場に急ぎますよ!」
感傷に浸る間もなく、
彼が手を取って
下駄を履かせてくれた。
なんだか、それも切ない。
会場に着けば、
私達は・・ワザとらしく
離れてなきゃいけないから。
これは・・
エレベーターの前にある
非常階段の重いドアが
閉まった音だったらしい。
「・・・!」
ああぁ、恐怖映画みたい・・!
もう目の前に居た
ジュードさんが
サングラスの奥で・・怒ってる。
ドアをググッと
押し開けて割り込んできた。
熊谷がニヤッと笑って
やっと片腕を腰から離してる。
「なかなかエレベーターが
下りて来ないと思ったら・・!」
「悪い悪い、
口説いてた最中だったの。」
セクハラされても
口説かれてた覚えはない。
ジュードさんは自分より
背の低い彼に向き直り、
フッと大きく鼻から息を出す。
「成功したら連絡頂戴・・?」
その不敵な笑み同士で
笑い合ってる怖い光景だった。
熊谷も開いたドアに
"先にどうぞ"って手で示してる。
「急いで下さい!」
部屋の前では大荷物の
衣装さんとメイクさんが
跳んで手招きしてた。
「一体何ゴトですか?」
「記念撮影だけでも出て来い
ってさ。・・勝手なもんだ。」
コンシェルジュに聞いたら
外出してないって言われて
それで上まで見に来たのだ。
部屋に入ってから猛スピードで
着付けられ、髪に飾りをつけ、
メイクも薄くして貰って・・。
「いい・・じゃない・・?」
「・・本当に?」
さっきまでジョゲショゲだった
のが嘘みたい・・嬉しい・・。
帯を直して貰ってる間、ずっと
等身大の鏡の自分を眺めてた。
紅い振袖・・手毬の模様、
生まれて初めての着物だ。
「会場に急ぎますよ!」
感傷に浸る間もなく、
彼が手を取って
下駄を履かせてくれた。
なんだか、それも切ない。
会場に着けば、
私達は・・ワザとらしく
離れてなきゃいけないから。


