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会場でそんな事になっている
とは勿論知らずに・・此方では。

熊谷は思い出しているかに
・・パントマイム付き説明だ。



「あの時はねぇ・・
今、この画面に映ってるコは
"本当に存在してるの?"って
俺はTVに張り付いたんだから。」

「えっ・・。」

「なーんで、そんなコト、
思っちゃったのかなぁ・・?
って今はそう思うよ。ふふっ。」

「・・でしょうネ。」



目の前の私をシゲシゲと眺め、
首を思い切り捻ってる。

ケロリと憎たらしい事を言った
後、吹き出して笑ってた。

こうやって普通に見る私は
どうってコトないって意味だ。

アゲて落とすなんて。でも、
ベタベタに
褒められるよりはずっといい。


「じゃ・・映り、
良かったんですね。」

「・・え? ぁ、うん。」


だいたい、あーんな、
口一文字の映像が
そんな訳ないんだから。

そう云って食べ終わった後の箱を
畳んでから席を立ち上がった。

エレベーターに乗った時
何を思ったのか、
彼は足をドアに挟んでる。


「閉まらないと降りれません。」

「フフフッ、解ってるよ。
ねえ? 俺の部屋で暖まらない?」

「は?」

「寒いんでしょ? 
いい返事を今待ってるんだ。」


前にもドコカで聞いた様な台詞だ。
エレベーターのドアが
開いたり閉まったりするのに
目をやり、なんて答えようかと・・


「こうやってさ・・?」

「・・・!」


唐突に近づく顔に体が強張った。
彼、熊谷の目も・・大きい。


「近くで見たら
誤魔化し効かないでしょ?」

「セクハラです・・!」

「何でよ? 見てるだけじゃん。
うふふ、照れちゃって・・。」



耳に笑い掛ける息も
第一級のセクハラ行為だと思う。

穴が開くどころではない。
目を瞑って俯いても、
器用にろくろ首の様に覗き込んだ。


「もう・・、階段で・・!」

「解った解った。
からかっただけだって・・。」

「それもセクハラ・・!」


腰を手で捕まえるのも
立派な犯罪なのに・・・あっ。