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「・・・・・出ない?」


おかしいな、シアの奴、
携帯を置いて
買い物でも行ったのかな?

それとも・・フテ寝?

自粛だから、何所にも遊びに
なんかは行かないだろうけど。


「あのう、ジュードさん」


ロビーで背後からの声に
思わず携帯を閉じてしまった。


「なにか?」


お客ではない、新入りかな?
何にせよ、俺とは初対面だ。

ヒラヒラのアイドルドレスから
小さなデジカメを取り出した。


「一緒に撮って下さい」

「・・今は皆、仕事中だから。
今日はもてなす側なんだしね?」

「あ・・、そうですよね、
スミマセンでしたっ。」


これでも、できるだけ
優しく云ったつもりだ。

一応、腰を折るのだけは
知ってたみたいで逃げる様に
会場に戻って行った。

ったく、
いつまで素人のつもり?

場を弁えないわ、
"初めまして"も云えないわ、
マネージャーはどう教育してる?

はっ・・俺は何をイライラと。

どうにかして早く帰りたい
と思うんだけど、方法がない。

せめて
シアが電話に出てくれれば
少しは落ち着けるんだけどな・・。

でも、結局彼女とは連絡も
取れずに俺も会場に戻ったんだ。

いや~なムードの場内へさ。


「・・・連絡とれましたか?」

「いいえ、ダメでした。
お風呂でまァた、眠ってなきゃ
いいんだけど・・大丈夫かな?」


専務は向こうでモメてる株主達と
幹部、そして俺を交互に見ていた。

親達は皆シアの顔が載った
パンフを手に怒ってる。

此処まで的確に予想した俺って、
天才かも・・。

まあ、ビィビィ泣いてる子供の
年齢層までは予想外だったかな。


( 上はどう見ても・・髭濃いな?)


俺の方はしらんぷりで
さりげなく立ち去ろうとしたが
後肘を捕まえて前に回ってきた。


「彼女に、前にもそんな事が?」

「まあ・・疲れてるンでしょ。
ベッドで寝ればいいのにね。
本当に困ったコで。」←よく云う


そう云われればたちまち
恩田専務の顔は青くなって行く。



「会長もアア云って
おられる事ですし・・仕方ない。」