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「俺も自分で何か作るの、
苦手なのよ。片付け面倒だし」


彼はコーラを2本手に
エレベーターのボタンを押す。

スカイ・パティオは
思ったよりジミである。

ホームセンターなどに置いて
ある様な木のテーブルセット、
風が当たらない壁際その席に
座ってピザを広げて食べた。


「へー・・女優さんするのも
大変だな。ま、音楽活動して
てもアレコレあるけどさぁ。」


この熊谷もスーパーや
コンビニに行くと、
必ずカゴの中身を他人に
覗かれるのだそうだ。


「・・マンションの敷地内に
コンビニでも欲しい位です。」

「ダメダメ! 何言ってんの、
ますます出不精になるって!」


彼はJudeさんと同じ分野でも
ロック・グループのVoだとか。

音楽関係の人が特に多いと、
前に恩田さんが言っていた。

此処には彼の所属する事務所
の紹介で入居したそうである。

背は那須さんより少し低い位、
はにかみを隠す様に静かに
笑う所が誰かを思い出させる。
顔形は全く違うと云うのに。


「今日はもう、ここに缶詰
なんです。"自粛"って事
なので仕方ないですね。」


「・・・・・・かわいそう。」


「そ・・、
そんな目で見ないで下さい。
可哀相な事ないですからっ。」


ポツリと呟いてくれる彼から
思わず哀れみの視線を膝を
上げてまで掌を使って避けた。


「!」


頬杖で目尻を下げるてる彼に
やっと気が着くのだ。



「ふふっ、ホント
直ぐに赤くなる。」

「?」

「俺ね? シアちゃんが大阪の
番組に出た時ホテルで見てた。」



ヨリによってアレを!? 裏で
ハデにコケて鼻ムイた、あれ? 

まさか、ローカル番組を
リアルに観られてるとはッ。

あの時の事を思い出すと、
もう顔から火がでそうになる。

ああ・・穴があったら入りたい。


「そうだなぁ・・初めて君を
見た時ねぇ、心臓がこう・・、
"ドックン"って感じ解る?」




・・解った。もう云わないで。

柘植くんからも、

"高級なカカシかと思った"

・・って、バカにされたもん。