インターホンの画面に映るのは
さっきの隣の人の様だ。
今度はサングラスを上に上げ、
カチューシャみたいにしてる。
「こんにちわ。何か・・?」
『おとつい、隣に越して来た
熊谷です。こちらにはまだ
挨拶もしてなかったから。』
この都会で何て律儀な人だろう。
私は全然そんな事もしていない。
恥かしくなったと同時に、
慌てて
玄関からそっと顔を覗かせた。
なんだか落ち着かない様子で、
私に何かを差し出してきた。
「これ、挨拶がわりに。
俺ンち、実家がソバ屋だから。」
「有難うございます。
ごめんなさい、チェーンも
外さないで私・・、」
「あ・・、いい、いい。
その位の用心の方がいいよ?」
チェーンを外そうとしたら逆に
止められてしまった。
その隙間から、見えた彼の背後に
逆さまのマウンテンバイク。
「修理ですか・・?」
「そ。ここの廊下、広くて
邪魔にならなさそうだから。」
パティオもバリのホテルみたいで
すっごく、気に入っていると言う。
用事はそれだけだから。
そう云ってまた
工具を手に修理し始めだした。
ピーンポーン・・。
「あっ」
中に戻ってみると
今度はピザ屋さんだった。
「結城さま、お持ち致しました。」
「どうも有難うございます。」
コンシェルジュのお姉さんが
代金立替の上、わざわざ
ドア前まで持って来てくれた。
こんな事までして貰っては、
ピザを頼むのも
おっくうになってしまいそうだ。
「い・い・匂いがスル~♪」
自転車屋さんさながらに
中腰でペダルを回していた
男が横目に私を見て笑ってる。
「・・・。」
確かに・・コレを独りぽっちで
食べるのも味気ない。
「幸いお天気もいいし・・
手を洗って来ますか?」
「じゃ、俺は
コーラをご馳走するよ・・!」
独りだと、自分の惨めさを
また思い出しちゃうから。
誰かと話している方がいいんだ。
・・それが彼、
熊谷禅<クマガイ・ゼン>との
初めての出合いでもあり
ご近所付き合いでもあり・・。
さっきの隣の人の様だ。
今度はサングラスを上に上げ、
カチューシャみたいにしてる。
「こんにちわ。何か・・?」
『おとつい、隣に越して来た
熊谷です。こちらにはまだ
挨拶もしてなかったから。』
この都会で何て律儀な人だろう。
私は全然そんな事もしていない。
恥かしくなったと同時に、
慌てて
玄関からそっと顔を覗かせた。
なんだか落ち着かない様子で、
私に何かを差し出してきた。
「これ、挨拶がわりに。
俺ンち、実家がソバ屋だから。」
「有難うございます。
ごめんなさい、チェーンも
外さないで私・・、」
「あ・・、いい、いい。
その位の用心の方がいいよ?」
チェーンを外そうとしたら逆に
止められてしまった。
その隙間から、見えた彼の背後に
逆さまのマウンテンバイク。
「修理ですか・・?」
「そ。ここの廊下、広くて
邪魔にならなさそうだから。」
パティオもバリのホテルみたいで
すっごく、気に入っていると言う。
用事はそれだけだから。
そう云ってまた
工具を手に修理し始めだした。
ピーンポーン・・。
「あっ」
中に戻ってみると
今度はピザ屋さんだった。
「結城さま、お持ち致しました。」
「どうも有難うございます。」
コンシェルジュのお姉さんが
代金立替の上、わざわざ
ドア前まで持って来てくれた。
こんな事までして貰っては、
ピザを頼むのも
おっくうになってしまいそうだ。
「い・い・匂いがスル~♪」
自転車屋さんさながらに
中腰でペダルを回していた
男が横目に私を見て笑ってる。
「・・・。」
確かに・・コレを独りぽっちで
食べるのも味気ない。
「幸いお天気もいいし・・
手を洗って来ますか?」
「じゃ、俺は
コーラをご馳走するよ・・!」
独りだと、自分の惨めさを
また思い出しちゃうから。
誰かと話している方がいいんだ。
・・それが彼、
熊谷禅<クマガイ・ゼン>との
初めての出合いでもあり
ご近所付き合いでもあり・・。


