『映画と関係ない質問は、』


まだ経験の浅い司会者が
舞台挨拶の後の記者会見で
そう云ったのを
監督が止めたんだ。

監督を筆頭に並んでいた
来日中の出演者に混じるシアへ

昨日の一件のコトを質問した
勇気ある? 記者がいた。

通訳が入った所で共演者らが
一斉に大笑いしてる。


『そう云った人に、私の目の
前で訊ねて欲しいもんだね。』


『2作目は誰が撮るンだ? 今、
監督に捕まって貰っちゃ困る!』



そうやってシアに対しても
共演者の彼らは笑いながら、

"今年の
サマーキャンプの予定は?"
とか、

"宿題なら僕が見てあげるから"
とか・・まるで小学生扱いだ。


『共演者の人達は私が18歳だと
云う事を誰も信用していません。』


真っ赤になりながらチラリと
彼らを一瞥、
シアが日本語でそう答えると
会見場で笑いが沸き起こった。


『彼女を否定すると云う事は、
私や、ドイツ映画祭の審査員や、
アマミを侮辱するのと同じだ。』


監督が珍しく
真面目にそう答えたのだ。


『以上を持ちまして・・』


やっと、彼女は今日の難関を
通り越したらしい。

俺もワンセグで見ていて胸を
撫で下ろしていた。

その様子は昼のワイドショーで
流されていたんだが・・。


『だぁれ?
あんなツマンない質問する記者を
あそこへ行かせたのは!? 
恥かしい限りよネェ、まったく。』


質問した記者へ、
オネエ言葉の有名な映画評論家が
呆れてコメントしていた。

そりゃそうだろうと思う。

ドイツ映画祭で貰ったあの賞は、
1人の新人女優が
審査員全員一致で、
急遽作られた特別賞だったんだ。

だからトロフィーも間に
合わず少し小さかったらしい。

人間と云うのは単純で、
専門家がそう云い出すと

朝まで何もコメントされて
なかった俺のサイトの
掲示板には次々と
コメントが入り出した。


「同じファンとして恥かしい」

「あれはSiaちゃんの実力です」


などなど、右にナラエ!
みたいな気がしないでもない。

結果良ければ全て良し、
の・・筈だった。