残念な事に・・、

本番中
彼女を中傷した女は
俺のファン・クラブの会員
だった事を後で知らされた。

その日、俺は事務所と相談し

自分も彼女のファンの一員で
ある事をシアのサイト上で
告白すると共に、

その女のクラブ除籍の報告と
お詫びのコメントを掲載した。

勿論、自分のサイトにも
報告とコメントは直ぐ載せた。

普通、こんな事(退会処分)は
ヒッソリやるものなんだろうが
それでは俺の気が済まなかった。

見せしめみたいに公にした事で
ファンの気持ちを
逆撫でするかもしれない・・

そんな懸念の声も事務所側で
あがったが、ケジメは要る。

意外にも俺を嫌っていた筈の
専務がGOサインを出したんだ。

その彼とも電話で話してた。


『彼女の為に人気を落とすかも
しれない、いいんですね?』

「この位の事が出来ない様なら
・・俺は男を辞めますよ。
彼女に代わって貰えます・・?」


何もしないで後悔するより
やれる事だけでもやらないと。

こんなコトしかしてやれない
自分が悔しいし、歯痒い位だ。



『・・ジュードさん? 』

「ああ、シア・・大丈夫?」

『私は平気です。それより、
ジュードさんの方が心配で。』

「何の心配? 明日、
舞台挨拶がんばんなよ・・?」



ミュージシャンである前に
俺は1人の男だって事だ・・。

付き合ってるンだとか、
恋人なんだとか、

キレイな事は幾らでも言える。

俺達はそんな概念で
結ばれている男と女じゃない。

彼女が云う通り、もう
"超えてしまってる"

・・"ギリギリ"なんて言葉は
言い訳にしか過ぎないよ。

女を1人守るのに
そんな言葉も
超えたっていいと思わない・・?

・・・愛って怖いね、

こんな俺にでも
何でもさせちゃうんだから・・。



『ジュードさん。
無茶だけは・・
絶対しないで下さいね。』

「バーカ、深刻すぎるよ。じゃ、
明後日の記念パーティでね。」

『・・・ええ。』



何がって・・それまで
会えないのが淋しいだけだよ。