俺はラジオ局内で軽い食事を
取りながらその真昼の番組を
メンバーと一緒に見ている。

凄い歓声だった。


「あらら? マズイんでない?」

「敵は増やしちゃダメだよー。」


画面上に映る俺からの盛大な
花を見てニヤニヤと云うんだ。

観客もざっと映り、
明らかにシア目当ての男達が
大勢いたからだ。

だが、流石はベテラン司会者。
ソコに触れずさらっと次へ。


『お~、両監督から・・!』

『有難うございます。』


最初緊張していたが、笑わせ
ながらのトークなので、本人
も表情が解きほぐれてきてた。


『でも凄いよね~、そうそう
居ないですよ? 2作目がイキナ
リ、ハリウッドなんてのは。』

『あ・・ええ。天美監督の
映画がなかったら・・、』


シアが言葉を選びながら
話していた、そんな時だった。


『監督と一緒に
オネンネしたからでしょー?』

マイクが拾った
観客席からの女の声。


「「「 ・・・! 」」」


その声にぽかんとするシア。
司会は一瞬そちらを見ただけで、
話しを上手く切り替えた。


『オイ、ドブス!! ヒガミか?
てめぇ、ジュード信者だろ!』


本番中、観客同士の激し言い
争いを番組スタッフが止めに
入ってるんだろう。

今度は司会者まで黙視してた。


『『 ・・・・。』』


騒然とするスタジオの観客席の
様子は音声だけでも伝わる。
直ぐCMに切り替えられていた。


「シア、偉いぞ・・。」


CMが終わり、司会者が苦笑いで
軽く視聴者に詫びるのと一緒に
彼女も頭を下げている。

微笑みこそ頼りないが、
話しの続きと次の紹介を終え、
無事に下がって行った・・。

騒いだ両者が退席した後の
空いた席にはまた、
局伝統の"クマのぬいぐるみ"が
置かれたらしい。

昔、生の某・子供番組で、
お姉さんの言う事を聴かない
悪い子を退出させた後、

空席にぬいぐるみを置いて
誤魔化したのが始まりだとか。




( 大丈夫かな・・。)


携帯で即、恩田専務に電話したが

・・俺は絶対、拒否られてる。