「シア・・?」
さっきまで箱を取り返そうと
両手を伸ばしてピョンピョン
俺の前を跳んでたんだけど・・
急にトイレへ走ってったんだ。
俺は我に帰って耳を澄ますが、
流す水の音で何も聞こえない。
出てきた時には何ともない顔で
"お腹が冷えちゃったみたい"
そう云って
お風呂に入って行った。
その間に俺は見てしまったんだ。
彼女が飲んでいたのは
ピルはピルでも・・
飲むのが早ければ早いほど
避妊率が高い
まだ日本では
認可されていない
アフター・ピルだなんて。
レイプなどの犯罪が多い国で
よく使われていて
最近は日本の産婦人科でも
扱っている所があるらしい。
その後、
食事に行っても折角、
大好きな
お寿司も少ししか食べなくて。
笑顔も・・薄い。
俺は頬杖着いたまま
彼女の顔を覗き込んでいた。
「ねえ・・? 俺も・・
オキテ破ったりしたから、
こう云うのもナンだけどさ。
隠し事はナシって決めない?」
「え。」
「まず始めに・・ムリするなよ。
具合、悪いンだろ?」
「あ・・・。」
副作用で・・
頭痛と吐き気がするって話だ。
責められるべきは俺の方なんだ、
彼女を大人の女として認めては
いるが、実年齢ではまだ子供だ。
だけど・・ちょっと
知った時はショックだった。
シアが・・そこまで仕事に
のめり込んでしまってるって
目の当たりにしてしまった事が。
それに、俺が知らない間に
どんどんマセた事を覚えていく。
良くない前兆だった・・。


