ピンポンパンポーン・・♪
『館内のお客様に
迷子のご案内をいたします。
カーキ色の服を着た
結城史亜ちゃんを見かけた方、
マネージャーさんが探して
おられます。心当たりの方は
当事務所迄ご連絡下さい。』
「・・・・あのバカ。」
サングラスから
片眉が吊り上る。
マネージャーに
探して来いと行かせたんだ。
誰が
迷子案内流してもらえって??
ラクしようとするから、
メタボ気味になるんじゃん?
俺は用意された椅子で
脚を組みながら膝の上の手を
バキバキ鳴らして待ってる。
「ったく・・んっ?」
ロケ隊のスタッフを
掻き分けてシアが帰って来た。
でも、
何で追っ掛けの常連組付き?
おまけに彼女ら全員、
ハーハーと肩で息してるし。
一呼吸入れる間なく、
額に汗を浮かべたシアが煙草
一箱を剥いて俺に差し出した。
軽く頭を抱えたまま、
俺はそれを
表情も変えず黙って受け取る。
「遅く・・なりました。
申し訳ありません・・。」
他のスタッフが追っ掛けの
常連組らを追い出そうとする
のを、手を上げて止めさせた。
「全員で駆けっこ?」
「あ・・イイエ。」
「じゃあ何?」
後ろの子達を手の平で指して
更に彼女に訊ねた。
まさか、彼女らとダベってて
遅くなったんじゃないだろ?
チラっと後ろのその子達を
見遣るシア。
また困った顔をして。
「なーんだ、
シアちゃん帰ってたの?」
マネージャーの本木がその時
ノコノコ帰ってきやがった。
シュンとした様子で俺の前に
立たされているシアを見て
彼はそれ以上喋らなくなった。
「言い訳位出来るでしょ?
云ってみ?」
気が付けば周りは、
俺の"怒っているらしい"
雰囲気に注目してる。
マネージャーだけは
また呆れてるんだろうな。
"また、Sっ気出して"ってさ。
「あの・・・彼女、補導員に
捕まっちゃって・・!」
「はっ!?」


