「ちょっと酷いですよ・・。」

「何も貴方が気落ちしなくても
・・。当然の報いです。」


朝、大きな使い捨てのマスクを
被らされて専務と病院で。

売店で目に入った、気になる
見出しに買った事もない
スポーツ新聞を即買いしてしまう。

"Jude、出番なし"

相次ぐ解約、降板。
こんなトップ記事・・。

世間では私が彼に捨てられた
みたいに思われている。

付き合ってるなんて
一言もコメントすら
していないと云うのに。

芸能界と云えど男と女、
俗に言う破局っていっぱい
ある筈なのに

どうして彼だけが、
こんな槍玉に挙げられるの?

ブログでコメントしようにも
事務所のチェックが入る様に
なったからNGになってしまう。

でも・・これじゃあんまりだ。

みんなが思っている程、
私は傷ついてなどいない。

それなのに回りは気味が
悪いほど気を使うのである。


「それより・・家に帰っても
ちゃんと寝てて下さいよ?」

「ふぁい・・。」


熱は下がったものの、
留めない鼻水と頭痛。

こんなに体が弱かったっけ?
そう思うほど治りが悪い。



「それと・・鍵はちゃんと
閉めて、彼が来ても居留守を
決め込んで下さいね・・?」

「もう来ないですよ・・。」



引越ししたと思ってるから。

でも・・罪悪感。
まるで逃げているみたいで。


「ラフィ、ただいま。」


部屋に戻って来てする事は。

お留守番のご褒美にいつも
わんこ用のガムをあげる。

食べている時はいいんだけど
時々、微かな物音にでも
反応して耳をピーンと立てて。

ジュードさんじゃないかって
様子を伺ってたりしてる・・。

それが解ってしまうから、
"ゴメンね"
って・・私も謝ってばかり。


目を合わさない内に二階へ
上がろうとしたその時。


♪~♪~♪~・・


ポッケの携帯が鳴ったのだ。


「もしもし?」