彼に取って俺が"拾う神"なら
俺の方はどうなんだろう?

朝、マネージャーと
音・バラの収録に行ったんだ。

そこの音楽プロデューサーに
マネージャーが呼ばれていた
時点で悟ってはいた・・。


「今日、
三回分の収録でいいって。」


楽屋に戻って来た彼も
"降板だ"とハッキリ云わない。

この調子でバラエティ系の
仕事は減っていった。

俺はロッカーだ。
別にテレビに出なくともいい。

しかし、
CMまで契約打ち切りってのは
ちょっと手痛いとこだった。

映画祭の一件は一部報じられ
ており、世間で俺は酷い男の
日本代表みたいに思われてる。

暇な人間がいて、

"何をアンタに迷惑を掛けた?"
って、云いたくなるンだけど、

俺をCMに起用してた企業まで、
苦情の電話をしてくる奴等が
現実に、マジでいるんだから。


「あんな男を宣伝に
使うんだったら、お宅の商品
なんか絶対買わないからな!」

「そんな商品なんて
絶対、信用できないわよ!」


・・とか。

中にはシアのファンからの
クレームも多いんだろう。

今の所、俺には
"捨てる神"ばかりって事だ。

あの女は
毒グモなんかじゃない。
疫病神か、ただの"貧乏神"さ。


「ジュード君・・せめてもう
別れた方がいいんじゃない?」


収録後、マネージャーの本木
が車での移動中にそう云った。


「そうだなぁ・・俺も、もう
ちょっとで飽きると思うんだ。」


ヒール(悪役)になり切るのは
以外と快感だった。

Sのボンテージ・・じゃなくて、
ボルテージが上がると云うか。

またひとつ
イケナイ味を覚えてしまったらしい。