彼女の携帯は不通になってる。
勿論メールも届く筈はない。

恩田さんのあの言い草・・。
携帯を変えさせたんだろう。

仕事に出る前に
彼女のマンションに寄って見た。

インターホンを
押して見たが返事はない。

合鍵を差し込もうとして・・。
・・入らない?

・・・YAMASHITA?

表札のこの、山下って誰?


「ラフィ?
・・・・・・・。」


いつもドアの直ぐ近くで
"クーン"って鳴き声もない。

・・・引越したのか?

余程、傷つけちまったらしい。
当然と云えば当然か。

俺達の
付き合いは普通じゃなかった。
それだけにシアは

"信じてくれている"
"話せば解ってくれる"

と、思ってた所もあって。

あの女に疑われでもしたら
元も子もない、
連絡も取れなかったんだ。

時間は掛かるだろうが
もう少しの我慢だ・・。

誰かに頭下げるか、
脅すかして、
シアの携帯番号と居場所を
調べないとな・・。


「どこ行ったんだよ・・
My Thumbelina ・・!」


ドアでゴチン・・!
額を打ち付けて堪らない
気持ちをやっと呟いていた。



「ちょっと! 人のウチの
ドアで何やってんの!」

「ハイ、ゴメンネー。」



シレっと云いながら
ぱっとドアから離れて直ぐ
その場から立ち去った。

俺とした事が・・!

スーパーの袋を下げて帰って
来た若いオネエちゃんに、

とんだハズカしい所を
見られてしまうとはァ・・!


・・・・さ、仕事だ仕事。