あそこに出食わしたのは、
この店に来る途中だったとか。

ココは彼女行き着けの
ネット・カフェ。

甘い物が食べたくなると
ここで漫画を読んだり、
ネットしたり、
店の常連と話したり。

なんだか本当にオタクらしい。
行動がアイドルらしくない。

だってココに居るお客さんと
フツウに手を上げて
"やぁ"ってアイサツしてる。


「あっ」

「どした?」

「ん・・メールみたい」


送り主は・・柘植くんだ。
思わず、その文面にクッと
下唇を噛んでしまった。


『今どこにおるん?
まだご飯食べてないんやったら
今日、凄く寒いやん?
サクヤさんもウチに来てるし、
皆で一緒にお鍋なんかどう?』


じーん、わり・・泣けてくる。

2人とも聞いていて・・
たぶん心配してくれてるんだ。


『友達の女の子、1人
連れてってもいいですか?』

『連れておいでーや。』


汐ちゃんを誘うと大喜びして
一緒にタクシーに乗った。

場所は柘植くんち。
マンションは知っていたから。


「「あっ、この子知ってる!」」


汐ちゃんは照れながらも爆笑。
2人で玄関先で指差さなくても。

有り難い事に彼女の前で
彼の話しは避けてくれていた。

・・・のに。




「ジュードさんはホントに
ロスで例の彼女と居るの??」


「「「 ・・・。」」」



羨ましいぐらい、
ハッキリ物を云う彼女。

私は少し苦笑い、
彼らは・・湯気が立ち上る
ちゃんこ鍋を前に、
レンゲ持ったまま凍ってる。


「さあ・・本当はどうだか。
本人からも連絡は来てないし。」


私は向こうでシェジュと
会った時の事を話した。
皆、
不可解な顔をして首を捻ってる。


「その内、解決しますよ。
皆、そんな深く考えないで。」


ナニがどうなったかなんて、
本人しか解らないんだもの。

ここで推理したって始まらない。



「そうだ、あさってドイツ
なんです。お土産は何がいいか
聞いておこうかな・・。」



解ってるのは
此処に居る皆が友達想いって事。

本当に・・友達って有り難い。