+ missing-link +

「コルドマン監督は
オーバーなんですよ。」


まあ確かに・・
日本と同じ様には行かない。

彼女が出掛ける時は必ず、
フロントに電話してから
出掛けなさいと云われ、

マネージャーと降りていくと
ドコからともなく
ゴツイ黒服が2人、
運転手とボディガードで
着いて来るらしい。

シアなんて、直ぐヒョイッて
連れて行かれちゃいそうだもん。


「一旦帰るの?」

「ええ、許可が降りたら。
また電話するって、さっき。」


一部、撮り直しの可能性がある
為に休養を兼ねて待機中なのだ。

夜、
下のレストランでシーフードを
食べながら話をしていた。

彼女の今度の役は
コケティッシュな少女吸血鬼。

一応食べられる、美味しくない
パテで作られたニセの首筋に
何度も噛み付かされたそうだ。


「俺の方は、明日から
レコーディングに入って・・!」

「・・・?」


どこかで見た女が
レストランの入り口から
手を振って近付いて来る。

シアが俺の目線を追い、
振り返った。

なぜかあの、韓国女優が
マネージャーらしき男と
隣の席に座ったではないか。


「コンニチハ」

「ああ、コンバンワ・・!」


俺は溜息をヒトツ、
真後ろの彼女を無視して
シアと話しを続ける。

そう云えば、
日本語を勉強してると云ってた。
ふ、使い方を知れ・・!


「・・・!」


何を思ったか女は
シアの前に立ち、
彼女に握手を求めたんだ。


「私の映画もドイツ、決まった。
向こうでドウゾよろしく。」

「韓国映画も・・?」


あの時、数々の無礼に
頭にきていた俺はロクに
話しを聞いていなかった。

まさか、この女がねえ・・?
やっぱり、お色気映画?

冗談は抜きにして、
アジアでのノミネートは
日本と韓国の2つだけらしい。