・・解せないな。


あんな少女がなぜ、こんな
ヘビの巣に迷い込んできた?

男が吐き散らかす毒は
煙や酒の匂いに
留まらないだろうに。



「Jude<ジュード>君の
タイプかな?」



どきィっ。

俺の頭の中が読めるのか?
それとも顔に縦書き?


彼女の
ナッツを皿に入れてる音が
カラカラと響いてる。


バカにしてるのか?
俺が"隠れロリコン"だって?

その男、坂巻孝介のガラついた
小さな声に俺はもう一度、
彼女を見遣った。

しいて云うなら
ミニな綾波系かぁ・・。

そのへんはまだ未開拓・・
いやいや。

小柄で、動きが落ち着いている。

その辺を歩いてる今時な
女子高生とは雰囲気がまるで違った。

チラリと振り向いた少女の瞳。

ここからでも解るぐらい、
大きな黒目だ。

彼女にはその程度の
"もてなし"しか
出来ないんじゃない?

緩やかなラウンドネック、
膝上の黒の
クラッシックなワンピース。

そのデザインに映える
前下がりの髪のライン、
細い首に
黒とシルバーの太いチェーン。

鎖骨の上のペンダントトップの
紅いロードライトがまるで
首輪をした、品の良い艶々の
黒猫をイメージさせる。

その格好のまま外国の石畳を
歩かせたら良い様な。


「俺、そんな見てた?」

「結構ね。」