「油断しちゃダメだよ。」


俺はそう云い、ネグリジェの
上からカーディガンを着せた。

散々愛し合って、まどろんだ後、
昼はとっくに過ぎていて。

シアの柔らかな頬にも赤みが
さし、不思議と体温も
36℃5分まで上昇したのだ。


「シンプルで・・素敵な食器」

「後で請求書回すよ。」

「ふふ」


下に降り、テーブルで2人
暖め直した料理をつついてた。


「おいしい」

「良かった」


俺はふと今もラフィが眠る
ソファにチラリと目をやった。

あの声、あの口調・・。
あれはアンタだったのか?

信じられないけど、あの警告が
なければ俺は此処で、悲しみに
発狂していたかもしれない。

今こうして隣で微笑み、
手料理を"美味しい"と
食べてくれるシアが居るのも
アンタのお陰だな・・。

"ロリコン野郎"なんて
云っちまって・・すまない。

俺だったら連れて行くかもな。

どんなに深く彼女を愛してたか
・・もうバレバレだけど

アンタの器の大きさには
全く恐れいる・・。

彼女同伴、いい酒持参で今度、
礼をしに行くよ・・いいだろ?


「ねえ・・明日もまだ安静に
してなきゃダメだ。向こうで
体調が悪くなったら迷惑だよ?」


低体温で死に掛けたのは
ちゃんと本人も自覚してる。

くどくど言わずとも
彼女を頷かせる事ができた。


「この時期だったら
グァムの方がまだ・・・!」


そう俺が言い掛けた時、ドアを
ノックする音が聞こえたんだ。


彼女を待たせて覗き穴を見る。
さっきの私服警察の2人だった。


チェーンを掛けたまま、
顔を覗かせると僅か一瞬、
"チラッ"とだけ手帳の中を開く。


「無線で連絡が入って・・
つい先ほど、宮田が逃走中に
車に跳ねられたそうです・・。」


「・・・・え!?」

「後・・
もう1つ残念な事が・・。」