私はもう感極まって泣くしか
出来ずにしがみ付いてた。



「迎えに来てくれた・・のが、
貴方で良かっ・ぅ・・ヒック。」

「ったく・・ほら、片方ずつ。」

「んっ・・。」



しゃがみ、どこからともなく
テッシュを出してビィィッと
ハナをかんでくれた・・。



「また、子供扱いして・・。」

「フ・・じゃあ、ノルなよ。」

「あれ、このテッシュ・・。」



彼が出していた
ポケット・テッシュは
リアルに
"プ○ミス"の広告が入ってる。



「ああ・・それ。死んでから
ちょっと暇があったんでさ。
あの場所へ行ってみたんだ。」



テッシュ配りの女の子にも
霊感の強い子がいるらしく

そこへ行く途中、
すれ違いザマにキッチリ
手渡されてしまったそうだ。



「二度目の場所へ?」

「ああ・・。
・・・綺麗な花、ありがとな。」




彼はそれを見て自分が死んだ
と・・、実感が沸いたと云う。


1ヶ月経ったらまた行こうと
実は私も思っていた。

そこが彼にとっても思い出の
場所であったと云う事が解り・・
なんだかジーンときてしまう。

きっとまた、
赤鼻になってるんだろうな・・。

私は彼を見上げ、気になっている
事を仮面の奥に尋ねた。



「いいえ・・それより・・
私は此処に居られるんでしょ?」

「・・・・・残念。」

「・・・え!?」


フードを剥ぐって、
後襟足を掻き毟る。

髪の色もやっぱり赤茶で。

フン・・と困った顔が想像
出来そうな、鼻からの溜息。

手の平がグリグリと頭を撫で、
彼は地面を指差すのだ。



「耳を当てて聞いてみな?」