なぜ首に
太い飾りを着けたがるのか。

右側から喉の方に向いた
細い切り傷痕を隠す為だった。

もし、これが自分で付けた
痕だと云うなら間違いなく
本気で死ぬ気だったとしか
思えない。

手首を切るより・・
手っ取り早いからだ。

それとも他の誰かに
傷付けられたか・・。

彼女は抵抗を止め、
覚悟を決めた様に瞼を閉じた。

俺はシアから退くと
首輪を元の位置に戻してやる。

ヤル気なんかハナからない。
ちょっと試しただけだ。



「次は誰か知ってるの?」

「一人目の人・・。」



抱きもしない男がリピート?
一体何の為?

俺は体を起こし、傍にあった
自分のバスローブを渡した。



「普通にウチで働けば?」



首を横に振る・・頑なだった。

何だよ、
昔のどっかの宗教みたいにさ。
洗脳でもされちゃったのか?



「何であんな男の傍にいるの、
・・理解できないね。」

「悪い人じゃないです。」



俺はバスローブを身に纏う
彼女を横目に寝室で滅多に
吸わない煙草に火を着けた。

そんな俺を振り返りもせず。



「約束は1ヶ月ですから・・。」



その心境を図り知る事も
させない無表情さで。

すう、と
幽霊みたいに部屋を出て行った・・。