レンジで暖めるだけの
カレーライスをチンしてやる。
ウーロン茶を紙コップに、
スプンと一緒にテーブルに置く。
途端にガツつき始めた。
ペロリと平らげると、
紙コップを手に憎たらしげな
笑みを浮かべて飲んでいる。
「何で紙コップなんだ?」
「毒入りだってバレない様に。」
「ブッ! ゴホッ・・!」
「冗談ですよ。」
テッシュを箱ごと渡して
向かいへ座る。
恨めしそうに睨みつける顔に
少し微笑んでやりながら。
「何の為の金が要るんです?」
「トンズラの資金さ。
借金とりから逃げるんだ。
それに人も刺してしまった。」
「刺した? 貴方はもう
立派な殺人犯ですよ?」
呆れたかに云い、立ち上がると
クローゼットに掛けてある
喪服を取り出して見せた。
宮田は此方の部屋に来て、
その様子を愕然と見ている。
「嘘だ・・!」
彼は取り乱した様子で
リビングのテレビを着ける。
「今、まだ、秋田のご家族の
到着を待っている所なんです。」
余程の国民的スターか、
政治家でもない限りニュース
速報では流れないだろう。
「此処に長居は出来ませんよ?
逃げられるといいですね。」
軽く人事の様に云いながら、
私は鏡でリップクリームを塗る。
宮田は半べそで縋り着いて来た。
きっと頭の中は混線状態だろう。
どうやって逃げるか。
そして、
もうひとつ考えてる筈だ。
「頼む・・!
なぁ、金をくれ! もう金輪際、
お前には会いに来ないから!」
「本音が出ましたね・・。
金をくれ・・ですか? 弁護士を
通してお断りした筈ですが。」
冷たく機械的にものを言う
私に腹を立て、怒鳴り始めた。
「私が此処まで大きくして
やったんじゃないか・・この!」
「あッ・・!」
怒りのままガッと肩を掴み、
鏡から乱暴に引き剥がされて
勢いよく後ろにあったリビングの
ローテーブルに頭をぶつけてた。
( もっと怒ればいい )
後は私から・・
どうやって金を奪うか。


