怖がっている場合じゃない。
傷を服の上からでも傷口を
押さえなきゃ・・・!
「大丈夫、慌てないで・・。
思ったより浅いから、ホラ。」
すると彼が自らシャツを手で
捲くって見せた。
黒い、腹巻のようなベルト。
「なんつーの? あの、サウナ
ベルトみたいなヤツ。着けて
て良かったァ・・。フ・・。」
嘘。
兄も坂巻さんも・・。
男の人は皆、嘘を言って
安心させようとするんだ・・。
「ダメ、喋んないで・・!
ごめんなさい、
ごめんなさい・・!!」
手に生暖かい感触・・。
首から出る血に私は自ら触れて
見た事を思い出す。
搬送先の病院で私に手を掛けた
母が病院関係者に取り押さえら
れて出て行った後、
あの人は
ただ突っ立って・・止血されて
いる私を見下ろしていたのだ。
オマエサエ、
ウマレテコナキャナァ・・。
あの男の口の動き、
それが"父"という
皮を被った男の本音だったのだ。
フラッシュバックに
かぶりを振りながら、
それでも必死で流れてくる血を
両手で押さえ続けていた。
「シーちゃんが無事で良かった、
泣くなよぉ~、大丈夫だって。」
「ん・・・! んっ・・。」
会長が先に電話したのか、
直ぐに救急車が来た・・。
傷を服の上からでも傷口を
押さえなきゃ・・・!
「大丈夫、慌てないで・・。
思ったより浅いから、ホラ。」
すると彼が自らシャツを手で
捲くって見せた。
黒い、腹巻のようなベルト。
「なんつーの? あの、サウナ
ベルトみたいなヤツ。着けて
て良かったァ・・。フ・・。」
嘘。
兄も坂巻さんも・・。
男の人は皆、嘘を言って
安心させようとするんだ・・。
「ダメ、喋んないで・・!
ごめんなさい、
ごめんなさい・・!!」
手に生暖かい感触・・。
首から出る血に私は自ら触れて
見た事を思い出す。
搬送先の病院で私に手を掛けた
母が病院関係者に取り押さえら
れて出て行った後、
あの人は
ただ突っ立って・・止血されて
いる私を見下ろしていたのだ。
オマエサエ、
ウマレテコナキャナァ・・。
あの男の口の動き、
それが"父"という
皮を被った男の本音だったのだ。
フラッシュバックに
かぶりを振りながら、
それでも必死で流れてくる血を
両手で押さえ続けていた。
「シーちゃんが無事で良かった、
泣くなよぉ~、大丈夫だって。」
「ん・・・! んっ・・。」
会長が先に電話したのか、
直ぐに救急車が来た・・。


