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「ついでがあるからコッチに
持って来てくれるらしいよ。」

「誰からか聞かれました?」

「聞くの忘れた! ゴメンっ。」


「あ・・いえ、いいんです。」



そんなに神経質になる
事もないと思うけど・・。

お礼がてら電話してみる事に
した。


『シーちゃん、どうしたぃ?』

「あ、今日はご馳走様でした。
あの・・
つかぬ事をお聞きしますが、」


そう云っている間にも配達員が
インターホンを押した。


「はーい。ちょっと待って。」


中から警備のシステム解除を
する僅かな時間、那須さんは
配達員を待たせている。それを
横目に私は少し焦っていた。


『お待たせ。
荷物は明日着くらしいぞ?
それがどうかしたんかい?』

「・・・・!」


ピー!

・・ロック解除の音に
背筋が凍りつく。


「那須さん・・! 待って!!」


何かを感じたラフィが初めて
大きな声で吠え出したのだ。
運が悪くも余計、聞こえ難い。


「えっ? なぁに? あ・・っ、
何だテメ! 
勝手に入んじゃねぇっ!
おい・・! 誰だ、アンタ!」

「邪魔するな!」

「やめてぇっ・・!!」



玄関のドアから
強引に上がりこもうとする
男ともみ合いになっている。

その声をこんな所で
聞くなんて・・。

吠え続けるラフィを抱きあげ、
がたがた震えてしまう。

果敢にも入って来ようとする
男の首を取り、膝蹴りを何度
となく叩き込んでいたが・・。


『シーちゃん、どうしたっ?』


「会長! 警察をお願い・・、
那須さん・・!!!
いやぁあっ! 人殺しぃっ!!」


「グフッ・・コイツが、
邪魔するからだ・・!
コイツが! 悪いんだ・・!」

「那須さん!那須さん・・!!」


元・父である宮田は血で
赤く光るナイフを足元に落とし
慌てふためいて逃走して行く。

その場には腹を押さえて崩れ
落ちた那須だけが残った。



「那須さんっ、那須さん・・!」


そうだ、
揺らしちゃいけない・・。



「きゅ、救急車・・!
直ぐ呼びますから・・!」