二人とも

___ 今、家に着いたそうだ。

マネージャーが俺に合図を送る。


安心した。

これで心置きなく
この女とキスできる・・・。




「カット!!」

「スミマセーン・・。」




本気でそう思ってるのか?
現場の空気も読めないらしい。

若手女優ったって、
所詮は雑誌モデルあがり。

俺はいよいよイラ立ってきた。



「ジュードさんもごめんね?」

「・・・・・いいよ。」



なんで俺、こんな時に・・

NGのやたら多いヘッポコ女優
に付き合わされてるんだ?

雪は偽者だけど風が冷たい。
ああ、せめてホテルに帰らせて。

抱き合ってキスした後に
たった一言呟くだけだろ?

何度、俺に
キスさせたら済むんだ??


「テイク22!」


もうそんなに・・?
勘弁してくれ・・。


「カットォッ!」


・・・またァ?


「ジュード君! 眉毛、
吊り上げずにやって見よう!」


「・・・ごめんなさい。」



俺かっ。

根が正直だらさ・・・!