最後のお客さんだと思ってた。
キャップを目深に被った
この男性は、締め切り
ギリギリに入って来たのだ。
このイベント自体ももう
後片付け始めていた。
握手し終わったお客さん達は
特設会場から次々と流し
出されてイベント・スタッフや
ウチ側の人間だけ残っている。
恩田専務が私の元へラフィを
連れて来ようとしていた。
( ・・・? )
専務の鬼気迫る様な
声音を初めて聞く。
そしてなぜか、
私の周りに殺気に似た緊張が
走ったのを肌で感じ取る。
「・・今日は有難うご・・!」
「・・覚えていて
くれたかい? 史亜・・!」
「・・・!!」
顔を見た。
声を聞いた。
それを云い終わるや否や、
その男性は・・
いつもはいない、屈強な
ボディガードの人達に
連れて行かれてしまったけれど。
ポケットに・・
手を突っ込んでいた手が
怪しかったからだ。
雇ったボディガードの人達は
部隊出身者が多く、少しの事
でも直ぐ敏感に察知する。
ここの事務所に連れて行かれた
男のポケットから
ナイフが出てきたそうだ。
それをどの様に使おうと
思っていたかは知らない。
その話を専務は私に隠した。
彼の気遣いだったのだろう。
あの人は事務所に何度も
コンタクトを試みて
追い返されていた様だ。
"宮田史亜を出せ"と。
ヒソヒソ話すスタッフの話を
立ち聞きしてしまった。
だから今回、
警備を雇ったのだそうだ。
ああなった母と、
気持ちの上でまだ・・
離婚できずにいるんですか?
「お父さん・・・。」
キャップを目深に被った
この男性は、締め切り
ギリギリに入って来たのだ。
このイベント自体ももう
後片付け始めていた。
握手し終わったお客さん達は
特設会場から次々と流し
出されてイベント・スタッフや
ウチ側の人間だけ残っている。
恩田専務が私の元へラフィを
連れて来ようとしていた。
( ・・・? )
専務の鬼気迫る様な
声音を初めて聞く。
そしてなぜか、
私の周りに殺気に似た緊張が
走ったのを肌で感じ取る。
「・・今日は有難うご・・!」
「・・覚えていて
くれたかい? 史亜・・!」
「・・・!!」
顔を見た。
声を聞いた。
それを云い終わるや否や、
その男性は・・
いつもはいない、屈強な
ボディガードの人達に
連れて行かれてしまったけれど。
ポケットに・・
手を突っ込んでいた手が
怪しかったからだ。
雇ったボディガードの人達は
部隊出身者が多く、少しの事
でも直ぐ敏感に察知する。
ここの事務所に連れて行かれた
男のポケットから
ナイフが出てきたそうだ。
それをどの様に使おうと
思っていたかは知らない。
その話を専務は私に隠した。
彼の気遣いだったのだろう。
あの人は事務所に何度も
コンタクトを試みて
追い返されていた様だ。
"宮田史亜を出せ"と。
ヒソヒソ話すスタッフの話を
立ち聞きしてしまった。
だから今回、
警備を雇ったのだそうだ。
ああなった母と、
気持ちの上でまだ・・
離婚できずにいるんですか?
「お父さん・・・。」


