何だろうな、暖かい・・。
それで妙に柔らかいんだ。

酷く心地よくて・・安心する。

気のせいか、
ベビーパウダーの様な香りが
俺の鼻を擽るんだ・・。

そう、昔お母さんに
パフパフされたやつだ。
こんな香り、久々かも・・。



「眉毛はよせ・・。ッエ!?」



顔をなぞられてる感覚に
目を開けた。

俺は今日、酔う程の酒は
飲んでいない。そして
家に連れ込んだ女はただ一人、


「な・・・?」


なぜ、
シアが俺のベッドにいる!?

驚いて目を擦りながら
半身を起こしていた。



「・・部屋に
ベッドがあったでしょ?」

「高いお金を・・、
あの人に支払われたのでは?」



いつも裸で寝る俺の肌に
密着する白い柔肌・・。

大粒の黒いビーズで編んだ
太い首輪が何だかとても
いやらしく見えた。


彼女は知っていたんだ。

自分が坂巻に、高額で
"貸し出されている"事を。



「彼が・・ヤレと云ったの?」

「まさか。彼はそんな事、
一言も言いません。」

「じゃあなんで・・」

「どうせ
押し付けられたのでしょ?
その"お詫び"です。
他に何もできないから・・。」



かと云って、
自分から誘う事はしない。
ただ
引っ付いてくるだけだった。


「だから・・体で?」

「アッ」


体制を変え、
被さる様に上から見下ろした。
シアは目も合わさずに
首を横へ傾けてる。



「今まで何人に"お侘び"を?」

「あなたで二人目です、
でも・・」

「でも?」

「"抱けない"とおっしゃって」

「世の中そんな
善人ばかりじゃないよ・・?」



シーツをサッと剥がし取ると
咄嗟に腕で
しどけなく胸を隠した。


「・・・・。」


やはり顔を反らしたままの
彼女の手をそっと除けさせる。

稀な、
形の整った綺麗なお椀型・・
青白い血管が透ける
ひんやりした肌。
なだらかな腰のライン。

薄過ぎる茂みは
まだウブさを感じせるのに、
目を伏せた横顔は
何とも艶かしい。