「なんでraphie(ラフィ)?」

「癒しの大天使ラファエルから」

「へえ・・いいじゃない。
でも可愛いね。嫌に大人しい」

「・・・ええ」



三日のお休みが過ぎて早速
夜、ジュードさんが遊びに来た。

リビングの一角に柵を立てて、
ソファに並んで見ている私達を

ラフィは浅い籐のかごの中で
此方をチラチラ見ながら
おもちゃを遠慮気味に齧ってる。

胴体は真っ白、ふわっと
目の周りが黒くてずんぐりした
かわいいあの子を貰って来た。

抱っこした時、頭の中で
"カチッ"と音がしたから。

この犬種は、
"ジャック・ラッセルテリア"
それのプティング? のラフだと
お店の人が言っていた。




「夜、鳴かない?」

「私が心配する位静かですよ。
・・ねえ、ジュードさん。
このバリケンは子犬用ですか?」

「えっ、ああ・・そうだね。」

「・・だと思った。あんなに
大きい犬用はないですよね。」



一体、
どの位大きくなるんだろう。

それを考えると毎日ジワジワと
嬉しくなるような。



「どこか・・
私と似てる気がしませんか?」

「似てないよ・・、図々しい。」



肘の内側で抱き寄せると
前髪を撫でてくれる。
彼の、本心を隠す優しい微笑み。



「ふふ、云い過ぎました。」



母による事件後、失語症でずっと
話さなかった時期があったそうだ。

もっと前に殺されてても
不思議じゃなかった・・。

なのに、ショックを受けるとは
今考えると、少し可笑しい。


そんな母も・・まだ生きている。