「クソ・・あいつめ・・。」



夕べ、あまり眠れなかったお陰で
10時頃目覚め、
ベッドでまどろんでた。

枕元にあった
携帯を何気に開いて覚醒する。

そのシアから、
夕べのメールのお詫びと
おはようございますはいいんだが。



『レンタカーを借りようと思う
んですけど、右と左、
どっちがアクセルでしたっけ?』


「"タクシーになさい"、と。」


ピッと送信。

どれだけチャレンジャーなんだ。
ペーパードライバーは無謀である。

昼過ぎから歌番組の収録なので
もうそろそろ起きないとな。

キッチンでは那須が携帯を
立ったままいじってる。


「"絶対IHのがいいよ・・、
俺のワンちゃんは譲ったんだ、
ウルフ・ハウンドって可愛い?"
・・っと、送信ー♪」


なるほど、彼女はこれから
炊飯ジャーを買いに行くのか。

なかなか活発でいいじゃないか。



「え? ウルフ・ハウンド?」

「あ、ペット・ショップで子犬に
一目ボレしたみたい・・。」

「・・・・。」



"貸せ"と携帯を彼から奪う。



「"ソイツは君よりデカくなるから
止しなさい。BYジュード"っと。」



シングル・ライフに
相棒が欲しくなったらしい。

解らなくもないが、
何も"世界一大きな犬"って位の
超大型犬じゃなくてもさ・・。

(50キロにはなるって聞いてない?)

万が一、散歩で引き摺られて
顔に怪我でもしたら大変だ。

それに、ソイツが甘えて
来たりなんかしたら押し潰されて
ペッチャンコになっちまう。


想像するだけでも恐ろしい。



「あっ、返信来たっ。」


「「 ・・・。 」」





『返して来た方がいいですか?』



・・・・いい子だから

今直ぐ、返して来なさい。